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ソニー「積層型」MFTセンサーの特許が、小型センサーの大きな未来を拓く

ソニー「積層型」MFTセンサーの特許が、小型センサーの大きな未来を拓く

ソニーの暫定的な新しいセンサーデザインは、MFT(マイクロフォーサーズ)センサーカメラの未来が有望なこと、そしてフルフレームが全盛の現在でも存在価値があることを示している。

フルフレーム以下のセンサーカメラが話題になるのは、あまり無いことだ。ナソニックのGH6が今後話題になるかもしれないが、たとえそうなったとしても、MFTセンサーの開発を継続できるかは不明だ。オリンパスの財政的な問題を見ても、フルフレームか撤退かの選択を迫られており、パナソニックもMTFカメラの方向付けを迫られている。

MFT sensor
Panasonic LUMIX GH5M2 with MFT sensor. Image Credit: CineD

しかし、新設計の2,146万画素MFTセンサーの素晴らしい性能を見ると、少なくともソニーはこのような見方をしていないことがわかる。ソニーは、自社ではMFTセンサーカメラを製造していないが、以前からセンサーを自社で製造し、オリンパスなどに供給している。このセンサーは、パナソニックがGH6に採用するのではないかとも言われているが、それだけ素晴らしい性能を持っているのだ。

高速撮像の優位性

積層型センサーは非常に高速な読み出しを可能にし、フルフレームセンサーでもクロップせずに120p以上の読み出しができる。しかし、同じ積層型でもMFTセンサーの方が小さいため、より高速な読み出しが可能になる。ソニーのプレス資料によると、この新センサーは、20数万画素(つまり6K強)の画像を、10ビットで160p近く、更に12ビット記録モードでは120pまで撮影できる。非常に低い解像度でも毎秒何百フレームにも達するが、1080p以上の最低解像度(2640×1318)でも毎秒470フレームという驚異的な数値を叩き出している。

もちろん、この性能を発揮するためには、対応する性能のCPUが必要となるので、このセンサーを搭載したカメラが必ずしもこの性能を発揮できるとは限らない。

Sony MFT sensor

さらに、読み出しが速いということは、ローリングシャッターの発生を抑えることができるということでもあり、スローモーションのための高速度撮影モードと合わせて、スポーツなどのアクションに最適な撮影プラットフォームとなっている。また、スポーツといえば、遠くから撮影することが多いが、小さなサイズのセンサーほど、遠景での撮影に有効だ。

ソニーの積層型フルフレームセンサーが素晴らしいということはもちろん、キヤノンの同様の製品も素晴らしいものになると予想されるが、実際には、同じアプローチのMFTバージョンはより速くなるはずだ。

より映画的な表現が可能になる

センサーの小型化という技術的なメリットだけでなく、フルフレームのようなルックにならないという”メリット”もある。5D MkIIが発売されて以来、ボケ味が容易に手に入るようになり、それはフルフレームの優位性ととらえられてきた。しかしプロのような映像を撮りたい人たちは、それにこだわりすぎる傾向がある。そのため、多くのカメラマンは極端な被写界深度の映像を使いすぎるようになった。これは、巨額の予算を投じた映画であっても、ボケを多用しすぎる場合がある。

Why is her ear blurry? Cui bono? Image credit: Netflix.

問題は、フルフレームセンサーの仕組み上、露出を確保しながら背景をボカさないようにする(絞る)ことが難しい場合があるということだ。これは、映画の認識に影響を与えるだけでなく、ボケ過ぎない映像にすることを困難にしている。背景には、視聴者にとって重要な文脈情報が含まれていることが多く、フルフレームカメラはそれまでもぼかしてしまう傾向にある。この問題を突き詰めると、フルサイズセンサーが普及した理由である低照度での優位性がうまく生かされていないことが分かる。。

MFTセンサーと優位性は、大型センサーに比べて被写界深度が深いことが主な理由だったが、ボケ過ぎが敬遠されるようになった今、MFTセンサーが復活する可能性が見えてくる。

MFTセンサーの逆襲

一般的に、小さいフォーマットのセンサーは、大きいフォーマットのセンサーよりも価格が高くなる傾向にある。つまり、フルフレームは、MFTが12ビットデータストリームやグローバルシャッター的な性能などの技術を享受している間、1~2年待つ必要があるかもしれないし、その場合はMTFの方がフルフレームより高価になる可能性もある。

Full frame lenses are getting smaller and smaller; MFT lenses have been small since forever. Image credit: Yongnuo

特にソニーは、デュアルISOシステムなど、同じ光量からより明るい映像を得ることで低照度性能をリードしている。そうなると、大きさにより光を多く集めるフルフレームセンサーの明るさでの優位性は、今では以前よりも意味をなさなくなっている。画素あたりの集光性能が上がれば、その画素が物理的に大きいことの利点は減るし、照明器具も小さく、安価になっていくだろう。

すべての撮影に適しているわけではないが、MFTカメラとセンサーには明るい未来が待っている。少なくともソニーがMFTセンサーを進化させ続けていることを考えると、この傾向は今後も続くと思われる。

Link: Sony (PDF)

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