広告

コンピューターが編集する映画 — エディターはもういらない?

コンピューターが編集する映画 — エディターはもういらない?

20世紀フォックスはSFホラー映画“モーガン(Morgan)”のトレーラーを公開した。このトレーラーの新しい点はIBMのワトソン(Watson)によってシーンが選択されていること。IBMのワトソンと言えば、人工知能(AI)の先端を行くスーパーコンピューターだ。そのAIが初めて編集をしたのが、このトレーラーである。映画の内容自体もAIを扱ったもので、興味深い。さて、映像編集は将来AIに取って代わられるのだろうか?

IBMのワトソンはニューヨークのヨークタウンに設置されており、それはAIの代名詞的な存在のひとつである。IBMはワトソンを、“様々な質問を理解し、膨大なデータからその質問に答えるシステム“と位置付けているが、20世紀フォックスは、今回これを映画“モーガン”のトレーラー編集に使用したわけだ。“モーガン”の内容自体、AIが人類に及ぼす恐怖を描いたものだけに、ワトソンが編集をするというのは実に興味深いことである。

IBM's super computer Watson © Wikimedia commons

IBMのワトソン(Watson)© Wikimedia commons

実はすべてをワトソンが編集したわけではない

まあ、そういうことだ。ワトソンはトレーラーの編集において、手助けしたに過ぎない。まず、ワトソンに映画の各シーンを分析させ、ホラー映画のトレーラーとしてどのように組み立てるかのアイデアを出させた。映画全体を見せて(?)、シーンを理解(?)させたのだ。IBMによれば、ワトソンは各シーンの情感と過激さの度合いを認識したとのこと。それから10カットのシーンをトレーラー用に選び出した。そして今度は人間のエディターがそのカットを使用してトレーラーを仕上げたというのが現実だ。

Scene from the movie Morgan © 20th Century Fox

映画モーガン(Morgan)の1シーン© 20th Century Fox

見て分かる通り、このトレーラーは従来のホラー映画のトレーラーとは全く異なっている。どの程度人間のエディターが介在したかは確かではないが、いずれにしてもこのトレーラーの各シーンはランダムだし、前後の関連性があるとは言えない。やはり、従来のように人間のエディターの手によるトレーラーのほうに軍配が上がるだろう。

今回の結果から言えば、今すぐにAIが人間のエディターに取って代わるというようなことは起こらないと思われるが、しかし、将来的にはそうなるかもしれないという気がする。それは、このトレーラーでAIが同じようなシーンばかりを選んでいないことから分かるように、理解したうえで人間と違ったシーンを選んだということに他ならないからだ。将来、AIは編集のノウハウを身に付けて人間のエディターに取って代わるだろうか?

Leave a reply

Subscribe
Notify of

フィルター
全て
ソート
latest
フィルター
全て
ソート
latest

CineDコミュニティエクスペリエンスに参加する