広告

ソニーα7RIII - サンプル映像とファーストインプレッション

既報の通り、ソニーのα7R IIIは一昨日発表された。早速同社の好意で使って見る機会を得、ショートビデオの作品を作ってみたので、そのファーストインプレッションをお届けしよう。

本体について

イベントに先立ち、私はソニーのYann Salmon-Legagneur氏にインタビューを行い、今回の新製品について、そのコンセプトを伺った。インタビューを終え分かったことは、今回の新製品は革命というよりは進化を目的としているということだ。また、ソニーが従来のボディコンセプトから徐々に変化しており、より大きなハンドグリップを備え、また機能の増加に伴ってより大きなバッテリーを収容するスペースを割いている点だ。

クリックで拡大: Sony a7R III – Image Credit: Johnnie Behiri

HLGとHDR

改良点の中で、フォトグラファーにとってはバッファを増やすことにより、より高いRAWビット深度(14ビット)およびより速い連続撮影ができるようになったことが大きいだろう。しかし我々映像制作者にとっては、HDR(ハイダイナミックレンジ)での撮影が効率的にできるHLG(ハイパーログガンマ)画像プロファイルの採用が大きい。 HDRは3Dの時とは違い、カメラやディスプレイメーカーが比較的コスト高を抑えることができるため、着実に普及している。 HDRのコンテンツを見たことがあれば、その美しさは一目瞭然だろう。今回のテスト撮影では、編集に使ったAdobe PremiereがまだHDRフラグ付きの信号をサポートしていないので、Slog 2で撮影することにした。従って、映像をHDRで編集することは可能だったが、YouTubeにエクスポートされた映像はHDRに対応していない。

オートフォーカス

オートフォーカスシステムも大きく進化している。使って見てすぐ分かったが、従来のαカメラに比べて間違いなく優れている。高速で信頼性が高いのは言うまでもないが、更に重要なポイントは、カメラの背面にある小さなジョイスティックでフォーカスポイントを簡単に変更できることだ。

EVF

EVFも改良されており、新たにα9と同じ高解像度のものが搭載された。新しいEVFでは、マニュアルでのフォーカシングが正確で、実に気持ちよく行うことができる。

手振れ補正

5軸手振れ補正が搭載されているが、これについては今回のテストではまだはっきりしたことが分からなかった。その理由の1つは、それを評価できるレンズを持ち合わせていなかったからで、望遠レンズを含め、今後確認したい項目だ。

プロキシ記録

撮影中、ファインダー内のXAVC-S 4K 25pアイコンの隣に「PX」マークがあることに気付いた。最初それが何を意味しているのか分からなかったのだが、これはプロキシファイルを同時に記録していることを示している。これにより、非力なパソコンでも高解像度の編集ができる。

SDカードスロット

今回新たに2つのSDカードスロットが装備されたが、今のところフォトグラファーだけがこの機能の恩恵にあずかることができるようだ。残念ながら、リレー撮影やバックアップ用の同時記録はできない。今後、ビデオカメラマンもこの恩恵が享受できるようになることを願ってやまない。

追加情報:ソニーから動画においても同時記録とリレー記録ができるとのフィードバックがあった。両方のカード同時に4K映像とプロキシの記録が可能とのこと。 また、動画でのリレー機能も搭載されている。一方のカードがいっぱいになると、自動的にもう一方のカードで記録が続行されるので、長時間の連続記録でもカード交換で途切れることなく収録ができる。

USBでのデータ転送と電源供給

2つのUSBコネクタが組み込まれており、そのうちの1つは高速データ転送(USB 3.1)用で、もう1つはパソコンや外部バッテリパックからカメラを充電することができる。

レンズ

ソニー24-105mm f/4.0 レンズで撮影

長く待たれていた24-105mm f / 4レンズもこのイベントで発表された。この焦点距離のズームレンズは、ほとんどのシチュエーションで使いやすいものだが、ドキュメンタリーで使うには、更なる広角が欲しいところだ。しかし、このレンズには良い印象を持った。シャープな映像で、マニュアルでもオートフォーカスモードでもフォーカスし易く、さほど重くなくかつ静かだ。今後のレビューでも、できるだけこのレンズを使って見たい。

まとめ

さてα7R IIIが優れたカメラだということへの疑いはないが、下の二つの疑問が残った。

  • α7R II、あるいはα7S IIから買い替える価値はあるだろうか?
  • ビデオグラファーが待望しているα7S IIIは、どのようなものだろうか?

最初の質問に対する答えは、実際に撮影するプロジェクトの種類や使用する機器によって異なるだろう。ビデオも撮影するフォトグラファーであれば、24-105mm f / 4レンズも含めて、α7R IIIの新機能は非常に魅力的だ。一方、ビデオグラファーの場合は、今のところ明確に言えるわけではないが、今後出てくるかもしれない新製品を見てからの方が良いだろう。

α7S IIIに関しては今のところ何の情報もないが、やはり2つのラインを明確に性格付けする必要があるのではないだろうか。今回α7RIIIにはHDR記録が搭載され、これは大きな進化だったが、もう一つ映像制作者にとって重要な点がある。それは10ビット内部記録と内蔵NDフィルターだ。これらの機能がα7RIIIに搭載される可能性が無いなら、α7SIIIはその必要性を求められるだろう。

上のビデオで使用したBGM: Binary Love – Broken Radios (find it on artlist.io HERE)

Leave a reply

Subscribe
Notify of

フィルター
全て
ソート
latest
フィルター
全て
ソート
latest

CineDコミュニティエクスペリエンスに参加する