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ソニーFX6レビュー

Music Courtesy of Epidemic Sound

新しく発表されたソニーFX6を数日間使用できたので、その使用感をレポートする。

ただし使用した個体は、初期のファームウェアを搭載した試作バージョンであることにご留意いただきたい。量産品が手に入ったら、改めて詳細にテストやラボテストを行う予定だ。

ミニFX9?

FX6はFX9のミニバージョンのように見える。FS7に対するFS5のようだ。実際FS5はFS7のスペックダウンバージョンで、コーデックはFS7に及ばなかった。

FX9とFX6の記録画質の違いはそれほど明確ではないが、これについては後で触れる。

形状と大きさ

カメラ本体は小さく、トップハンドルとサイドハンドルを外すと、小さな軽量の箱になり、狭いところの撮影やジンバルなどに乗せる場合便利だ。

構造はうまくできており、ハンドルを最適な位置に調整するのは非常に簡単だ。また、モニターを本体の別の位置に取り付けることもできる。軽量だが、機能が不足しているわけではなく、おなじみの電子可変NDフィルターも搭載されている。 これはND濃度をカラーシフトなしに無段階で調整できる。

Sony FX6 and XLR ports. Image credit: CineD

XLRポートの位置はハンドルに移行

FS5と異なり、2つのXLRポートは着脱可能なハンドルにある。FS5では、1つのXLRがボディ本体にあり、ハンドルを取り外した場合でもXLRオーディオ入力が使用できた。しかし、FX6では、本体には低品質の内蔵マイクしかなく、ミニジャックマイク入力すらない。ただし、FX6の本体にはタイムコード入出力ポートがあり、これにより、Tentacle Syncタイムコードボックスなどを接続して、外部のオーディオ録音や他のカメラと同期させることができる。

Sony FX6 button layout. Image credit: CineD

ボタンレイアウトとメニュー

側面のボタンレイアウトは直感的でソニーユーザーにはおなじみだ。カメラにはアサイン可能なボタンが多数用意されている。またFX6には、メニューボタンを1回押すと表示される新しいクイックメニューが搭載された。これは、最もよく使う機能を10ページ分グリッド形式で表示する。これはファームウェア2.0のアップデート以降はFX9でも利用できるが、初めて見たときは感動した。しかし使ってみると、もう少しブラシアップする必要であることが分かった。一緒に機能するはずの多くの機能が一緒に機能せず、多くが未完成だ。そのため、結局、メニューボタンを長押しして通常のフルメニューを表示し使っている。

720pタッチスクリーン

ディスプレイはFX9の画面と同じだ。 720pの解像度とタッチスクリーンだが、α7sIIIほどの応答性は期待できない。FX6はFX9と同じく優秀な顔認識オートフォーカスを備えており同様に機能するが、α7SIIIのようなタッチトラッキング機能は持っていない

CineD’s Nino Leitner using the Sony FX6. Image credit: Stephan “Sly” Silwester

プロビデオカメラの筐体に入ったα7SIII

FX6はプロのビデオカメラの筐体にα7SIIIのエッセンスを入れたようなカメラだ。ソニーはそうとは言わないが、センサーやその他のテクノロジーをα7S IIIから流用し、FX9の機能と組み合わせたように思われる。α7SIII の12メガピクセルのセンサーを16:9にトリミングすると、FX6の10.2メガピクセルになる。

驚くべき低照度特性

また、ISO 800とISO12,800はα7SIIIと似たネイティブISO値だ。α7S IIIは、下のネイティブISOは640となっている。

Low light shot from the Sony FX6. Image credit: CineD.

FX6の低照度特性は極めて優秀だ。ただし、まだ最終品ではないので正確なテストはしていないが、α7SIIIよりもクリーンな低照度映像が得られ、おそらく最も優れた低照度特性を持つカメラになるだろう。 量産モデルを入手したら、すぐにテストしてみたい。 α7S IIIはラボテストで、非常に優れたダイナミックレンジと非常に優れたローリングシャッター特性を示した。FX6でも同様の結果が期待できる。

Sony FX6 full frame sensor. Image credit: CineD

10.2ピクセルセンサー

FX6の10.2メガピクセルセンサーはネイティブの4K解像度センサーで、4KにダウンサンプリングされるFX9の6Kセンサーとは異なる。FX9はさらに高解像度だが、どちらもXAVC-IイントラフレームおよびXAVC-LのLong-GOPで4K映像を記録する。即ちFX6は、α7S IIIではなく、FX9と同じコーデックで記録する。もちろん、FX9と同様に、Slog3だけでなくS-Cinetoneも使用できる。

α7S IIIと同じ記録メディア

FX6の記録メディアはα7S IIIと同じで、V90のSDカードまたはCF Express Type-Aカードを使用する。FX9やFS7シリーズのようなXQDカードではない。

コーデックに関しては、FX9と同じだ。α7SIIIで使用される高フレームレート用のH.265ベースのコーデックは採用していない。コーデックの詳細については、こちらの記事も参照いただきたい。

Codec comparison of the Sony FX6, Sony FX9 and Sony a7S III. Image credit: Sony.

IBISではなくジャイロデータを記録

α7S IIIとは異なり、FX6はIBIS(ボディ内手振れ補正)を備えていない。ソニーは、メカニカルNDを内蔵したカメラにIBISを搭載するのは難しいと述べている。ただし、FX9と同様に、FX6にはジャイロスコープが組み込まれており、カメラのブレを記録する。ソニーのCatalystソフトウェアを使用すると、ポストプロダクションでそのデータを使用して補正できる。

ハイフレームレート

FX9はフルフレームセンサー時、4K /50 pや60pで記録できない。そのため、5Kクロップモードを使用している。

しかしFX6は、フルフレームセンサーで4K/50pまたは60pを問題なく記録できる。またスローモーションのためのS&Qモードでは、α7S IIIと同様に、クロップなしでフルセンサー読み出しを行い、4Kで最大120fpsで撮影できる。さらにFX6ではほとんどの高速モードでオートフォーカスが可能だ。 25pで撮影する場合、オートフォーカスは最大100fpsで動作し、29.97でも最大120fpsで動作する。HDでは、実にトリミングなしで240fpsで記録でき、オートフォーカス機能もHDの基本フレームレートに依存する。

一方FX9はトリミングなしではわずか30fpsでしか撮影できず、S&Qモードではオートフォーカスは使用できない。率直に言って、FX9のユーザーは心穏やかではないだろう。FX9の価格はFX6の約2倍だ。

Sony FX6 on the new Sachtler Aktiv head with a Flowtech tripod. Image credit: CineD.

RAW出力

FX9からRAWを出力するためには、315,000円(税別)のXDCA-FX9を別途購入して装着する必要がある。XDCA-FX9には他の機能もあるが、RAWを使いたいだけのユーザーも購入しなければならない。

一方、FX6はRAWをカメラから直接出力でき、AtomosレコーダーでProResRAWを記録することができる。 FX9のユーザーは、これに関してもがっかりだろう。

4K Super35mmモードは非搭載

ただし、FX6に4K/Super35mmクロップモードは無い。 HDでのみS35モードがある。もちろんこれは、このカメラで多くのレガシーレンズが使用できないことを意味する。

画像ズーム

ソニーによると、4K / QFHDでもクリアな画像ズームがあるとのこと。 4K / QFHDでは最大1.5倍、1080pでは最大2倍のズームが可能だ。これは4Kでも機能するが、4Kセンサーなのでピクセル補間を行っているのだろう。

Clear Image Zoom setting in the Sony FX6. Image source: Sony.

まとめ

FX9との比較はさておき、FX6はほぼ完ぺきなカメラだ。量産品をテストする必要があるが、今回使っただけでもそれが確信できる。小さくて軽く、必要なコーデックとフレームレートがほぼすべて搭載されており、驚くべきオートフォーカス性能を持ち、暗視カメラ並みの低照度特性を備えている。

FX6はFS7の真の後継機になるだろう。もちろんFX9にはSuper35mmクロップモードなど、放送局やハイエンドプロダクションにとって重要な機能が残されている。しかし、多くのインディーズ映画製作者や映像クリエーターにとっては、FX6が適している。FX6は、より広い用途で使われることだろう。

FX9のユーザーには悩ましいところだが、FX6は実に優れたカメラだ。 筆者のFX9も手放すときかもしれない。

価格と発売時期

ソニーFX6の希望小売価格はボディのみが726,000円(税別)、レンズ付属モデル(付属レンズ: FE 24-105mm F4 G OSS)は869,000円(同)で、12月11日に発売予定。

ソニーのウェブサイトはこちら

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