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ソニーRX10Ⅲレビュー - ビデオサンプル&ファーストインプレッション

ソニーRX10Ⅲが発表されたが、結構成功していると思われるカメラのアップデートを早くも発表したのには、ちょっと驚いた。今後どのように発展していくのか楽しみだ。初代のRX10をテストしたとき、HDの画質と扱い易さが印象的だったのを覚えている。多くのジャーナリストにとっても“夢が現実になった”的な思いがあったのではないだろうか。その後バージョンⅡが出たのだが、私は初代ほど魅力を感じなかったので、その時は同時に発表されたソニーのRX100Ⅳを先にテストしたのを覚えている

Sony RX10III- Photo by Masami-san IV (1 of 1)

そして今回のRX10Ⅲだ。短い時間だが試してみて、先代に魅力を感じなかった理由がよみがえってきた。やはりビデオジャーナリストにとっては使い難い点があるのだ。

ズーム域が拡張された(35mm換算で600mm)が、フォトカメラマンにとっては良い機能だし、ビデオクリエーターにとっても歓迎すべき機能だ。ただ、以前のバージョンのレンズには付いていたNDフィルターが省かれてしまったのは残念だ。また、全域f2.8で統一されていたのも良かったのだが、これも省かれてしまった。また、フォーカスとズームが独立したリングでコントロールできるのは良いのだが、フィーリングが追い付いていないのも気になるところだ。

終端が無く、ぐるぐる回るレンズリングは、フォーカスを合わせるのに苦労する。またビューファインダーもマニュアルでフォーカスを合わせる場合物足りない。マニュアルフォーカスを諦めてオートに切り替えたことが多々あった。

ビデオの解像度は初代から改善されているのだが、EVFが追い付いていない。レンズも画角全体でシャープでなく、ちょっとカメラを振るとフォーカスが合っていないように見える。更に、硬いプラスチックのアイカップは、是非次期モデルでは変更してもらいたいものだ。光の強い屋外での撮影では、ビューファインダーに光が漏れ入り、撮影がままならないのだ。α7シリーズのアイカップと互換性があるようなので、同じものを採用できないものだろうか。

ところで、先代にも搭載されていた、ほぼHD画質で撮れる250fpsの高速撮影機能は素晴らしい。HFRスタンバイモードに入ってからもフォーカスコントロールができると、もっと良いのだが。ちょっともったいない。

良いところも上げてみよう。RECボタンがレンズの左横に新設され、若干押しやすくなった。またフォーカスとズームそれぞれにレンズリングが割り当てられたので、これも使いやすくなった。レンズのズーム範囲も拡張され、ソニー独特のクリアなズーム画質で使える範囲が広がった。ズームアシスト機能もユニーク。これは超望遠域で被写体を見失っても、ズームアウトして確認した後、先に設定したズームポジションにリフレームできる機能。自分の撮影スタイルではあまり使わないかもしれないが、ズーム域を良く使うユーザーにとっては有用だろう。

Sony RX10III- Photo by Masami-san III (1 of 1)

RX10Ⅲの優位点

  • 4K(UHD)画質(XAVC S記録フォーマット)
  • 国際仕様(PAL/NTSC選択可能)
  • 高速撮影可能。(240p/250pでの画質も良好)
  • 広いズーム域(35mm換算で24-600mm)
  • 短い最短撮影距離(1Cm以下)
  • ソニーのプロ用オーディオアクセサリー、XLR-K1MやXLR-K2Mを使用可能
  • 記録中もオーディオモニター、オーディオコントロール可能
  • 4Kモードでの少ないモアレ(HDモードでは未確認)
  • ゼブラ
  • ピーキング
  • 記録中でも瞬時にズームインしてフォーカシングできる
  • 早いオートフォーカス
  • 外部レコーダーで記録できるHDMI出力(8bit、4:2:2)
  • カスタムキー機能(非常に簡単な操作で、ほとんどの機能を割り当て可能)
  • ズーム全域でクリアな映像
  • S-log2搭載

RX10Ⅲの考慮点

  • ビルトインNDフィルターが省略された
  • 外部レコーダーやモニターを接続すると、LCDやEVFはメニューなどを残したまま映像だけブラックアウトしてしまう
  • ズーム域で一定のf値では無くなった
  • OLEDビューファインダーは周辺のシャープさが多少失われている
  • フィットしないアイカップ(α7シリーズのものを採用希望)
  • PALモードにしても“NTSCで動作中”の表示が出ている
  • ローリングシャッター効果がそれなりに出る

まとめ

上記のプロコンのリストを見て、多少ミスリードする読者もおられるかもしれない。また、なぜこのカメラの評価が低いのか気になる読者もおられるだろう。私見だが、私にとっての最も重要なことは、カメラと一体になって満足のいく映像が撮れたかどうかだ。RX10Ⅲは、残念ながら、そうではなかった。撮影した映像に、最後まで納得がいかなかったのだ。先代に搭載されていたNDフィルターやズーム全域同f値が省かれたレンズを見ると、どうしてもビデオカメラマン向けではなく、フォトカメラマン向けにウエイトが置かれた気がするのだ。

グレーディング前の4K映像ファイルは上のリンクンロードできるので、試してみて欲しい。

For those who would like to download the ungraded 4K file, please use the link above

このビデオのカメラ設定:
XAVC S 4K 25p 100Mbps / ほとんどのショットはISO800で収録。Max ISOは1250 / HFR撮影:250fps / ピクチャープロファイル:S-log2 / オーディオはカメラ内収録(XLR-K2MとRode製NTG2マイクを使用) オーディオはカメラのプリアンプノイズ除去のためAudacityで処理 / ライティング:Kinotechnik Practilite 602 / Adobe Premiere CC 最新バージョンで編集、グレーディングは sony rx10 II プリセット。

Music: Art-List. Used themes: “Wellington Joke by Bs” & “Natural Way by Easy People”

A special thank you to Masami Morimoto. Find out more about her activities by clicking here

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