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富士フイルムX-S10レビュー

Music Courtesy of Epidemic Sound

富士フイルムがX-S10を発表したが、最新のファームウェアがインストールされている試作カメラを手にすることができた。4K APS-カメラで、手振れ補正を内蔵した、小型高性能なミラーレスカメラだ。今回も例によって短いドキュメンタリーを作ってみたので、レポートする。

偶然にも筆者の誕生日と同じ日に発表された。自分の誕生日を祝うのは好きではないが、この小さな素敵なカメラの発表と同じ日なら悪い気はしない。

FUJIFILM X-S10 and X-T4 Size compression. Image credit: CineD

筆者は現在X-T4を使用している。今年の初めに導入されたこの小さな「スイスアーミーナイフ」のようなカメラには、多くの魅力が詰まっている。最大4K / 60pの内部記録、ALL-Iコーデック、4:2:0、10ビット記録機能、優れたオートフォーカス、光学手振れ補正機能、手頃な価格で、信頼性が高く柔軟に撮影できるカメラだ。

新しく発表されたX-S10はX-T4と多くの共通点があるが、X-T4の機能を減らし、より小さく、より安価にしたカメラだ。しかしX-T4の良い点を忠実に継承している。

FUJIFILM X-S10
FUJIFILM X-S10. Image credit: CineD

新機能

富士フイルムは今までにも多くのコンパクトで高性能なカメラをリリースしている。X-T20やX-T30はCineDでもテストしており、ビデオの画質や使いやすさが大きく進化しているのを見てきた。X-S10はさらに進化し、価格も非常に競争力のあるものとしている。X-S10は、X-T30のラインを継承しているが、上位機種のX-T4からも基本的な要素を取り入れている。おそらく、X-T30からの最も顕著な進化は、このコンパクトボディのカメラにボディ内手振れ補正機能(IBIS)を搭載したことだろう。またX-S10のIBISは、小型のボディに収まるようにゼロから設計する必要があり、見事に実現している。軽量のミラーレスカメラは手振れが起こりやすい傾向にあるが、このIBISは写真の腕が上がったかのような気持ちにさせる。個人的には、「ブースト」モード(X-T4で搭載)は今でも気に入っている。三脚で撮ったような静止撮影にも、歩きながらの撮影にも有用だ。

FUJIFILM X-S10
FUJIFILM X-S10 4K DCI mode. Image credit: CineD

実際に撮影してみて

購入する前に、抑えておきたいポイントがある。センサーとプロセッサーはX-T4と似ているが、X-S10は次の点で上位機種のX-T4と異なる。

  • 4K / 50 / 60p内部記録なし(最大30pのみ)
  • All-I記録なし(Long GOPのみ)
  • 400 Mbpsの高データレートの記録機能無し(最大200 Mbpsのみ)
  • 内部10ビット記録なし

しかし、前述の利点に加え、HDMIを介して外部レコーダーで4.2:2 10ビットを記録できるため、999ドルの価格を考えると、非常にコストパフォーマンスの良いカメラと言える。

このカメラのグリップはとても快適で、またFNボタンを使用することもできる。同社のカメラの優位点の1つは、ミラーレスカメラで高品質の録音ができること。X-S10も例外ではなく、録音されたオーディオは良好で、比較的ノイズが少ない。またオーディオモニター用に、USB-C to ヘッドフォンジャックアダプター(X-T4と同様)が同梱されている。この方法で制限が出る場合は、USB-Cを介してカメラをジンバルに接続する場合のみだ。この場合はオーディオモニターができない。

ここで、注意する点がいくつかある。このカメラはX-T3と同じバッテリーを使用している。 (X-T4バッテリーを使用するにはスペースが足りない)。結果はかなり明白で、IBISが搭載されているため、バッテリーはかなり早く消耗する。ただし、バッテリーアラームの赤いバーが表示されても、さらにかなりの時間動作し続ける。ただ、X-T3のユーザーであれば、バッテリーを共有できるが、X-T4のユーザーであれば、新たにバッテリーと充電器を購入する必要がある。

さてオーバーヒートについては、その可能性は残されている。しかし、今回の撮影では頻繁に使用したにもかかわらず、黄色の温度警告サインが表示されても、シャットダウンしなかった。

ETERNA vs. F-Log

筆者は特にこだわらない場合は、ETERNAフィルムシミュレーションの画像プロファイルを使用する。ただし、このモードで撮影すると、ダイナミックレンジが狭くなる(最大1.5ストップ低下)。従って、できるだけF-Logを有効にして、後で自分の好みに合った色合いにするか、こちらからダウンロードできる富士フイルムの公式ETERNA LUTを使用することをお勧めする。 X-S10(以前はX-T30とX-T2)で撮影する場合、内部で8ビット記録される。その場合、色補正をすると画像が破綻しやすくなるのでかなり問題だ。このため富士フイルムでは、内部で8ビット記録するカメラにF-Logを搭載することを躊躇しているようだ。つまり、このカメラで撮影するものに応じて、慎重に記録モードを選択する必要がある。

Articulated screen
FUJIFILM X-S10 Articulated screen. Image credit: CineD

冒頭のビデオについて

今回のミニドキュメンタリーではサッカー愛好家の選手であるNnmadi氏に出演願った。彼は新型コロナウイルスのためにサッカーができない間、自家製ピザを売ることを思いついた。今回はこのような話を含め、彼に話を聞いた。

さて、今回のレビューでは、「予算内」でアナモフィック撮影をすることに挑戦した。目標は、2000ドルを超えないことだ。なお、今回はSIRUIのアナモフィックレンズは使用しないことにした。焦点距離が50mmに固定されており、オートフォーカスがないため、今回のプロジェクトでは適していないという判断だ。そこで、お気に入りのフジノンレンズの1つ、XC 15-45mm F3.5-5.6 OIS PZレンズと、SLR Magic Compact Anamorphot-401.33xアナモフィックアダプターを採用した。大まかな計算でも、予算を大幅に下回っているはずだ。

Lens and adapter selection
FUJIFILM X-S10 FUJINON XC 15-45mm and SLR Magic anamorphic adapter. Image credit: CineD

フジノンXC 15-45mmレンズ

撮影の仕方は人それぞれだが、筆者はドキュメンタリーを撮影するとき、使いやすさや動きの自由度を優先し、時には光学品質を犠牲にすることもある。確かに、これよりも明るく、より解像感のあるレンズも存在するが、ドキュメンタリー作品にとって、このレンズは非常に信頼できるものであることが証明された。非常に小型軽量で、手頃な価格の安定したレンズで、適切な焦点距離を持っている。光学性能は良好で、最大開放f値はf3.5(ワイド端)のため、エッジの甘さはそれほど目立たない。エッジの甘さに関しては、SLR Magicアナモフィックアダプターをこのレンズに取り付けると、f3.5絞りにより、アナモフィックアダプターを光学的限界で使用するリスクを回避できる。さらに、ケラレを防ぐために「ズームイン」を使用する必要があるため、焦点距離に応じて、f4.2またはf4.5とさらに暗くなる。明るいレンズでこのアダプターを使用する場合と比較すると、最終的にはるかに鮮明な画像が得られる。 (このアダプターを使用して開放で明るいレンズを使用すると、使用できないほど画像が甘くなってしまうリスクが常にある)。

このレンズとアナモフィックアダプターに関してまとめると、アナモルフィックスクイーズを大きくしたい(1.33倍以上)ことと、カメラ内にデスクイーズ機能を搭載して欲しいという要望になる。しかし、全体として、フジノンレンズとSLR Magicアナモフィックアダプターの組み合わせは、うまく機能することが証明された。

FUJIFILM X-S10 Q mode
FUJIFILM X-S10 Extensive Q mode. Image credit: CineD

まとめ

撮影状況にもよるが、筆者にとっては撮影機材が小さければ小さいほど好ましい。大きなカメラで被写体に恐怖感を与えず、被写体に近づくことができれば、それだけ良い結果が得られる。X-S10はIBISを備えた小型で高性能な4Kカメラで、非常に競争力のある価格だ。バリアングルLCD画面も非常に便利だ。フルHDでの240fps撮影でも同じことが言え、何を撮影するかによって異なるが、非常に使いやすくなっている。更に低照度撮影機能も良好だ。 ISO10,000で撮影した映像を普通に使用できる。クロママイクロブロックがほとんど含まれていないように見えるため、非常にクリーンな映像になっている。

さて筆者の誕生日と同じ日に発表されたX-S10だが フジノン15-45mmレンズとSLRMagicアナモフィックアダプターを組み合わせ、予算内で、全センサーピクセル読み出しの美しい映像を撮影することができ、良い自分へのプレゼントになった。

上記のビデオは、X-S10、4K DCI、25p、200 Mbps、F-Logで撮影。富士フイルムの公式ETERNA LUTでグレーディング。 (スローモーションショットは1080 / 200pを4Kにアップスケール)。 Epidemicsoundの音楽を使用。

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