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キヤノンEOS R5外付け8K ProRes RAW ダイナミックレンジラボテスト

キヤノンEOS R5外付け8K ProRes RAW ダイナミックレンジラボテスト

EOS R5の8K映像を Atomos Ninja V+を使って、外部ProRes RAW記録することができるが、今回はそのクイックダイナミックレンジをテストする。また、新しいCanon Log 3モードでもテストしたのでレポートする。

キヤノンEOS R5は、すでにラボテストを行っているため、今回は少し変則的なラボテストになる。当時、12ビットのキヤノン8K RAWと10ビットのキヤノン8K Log(H265)の内蔵記録が可能だった。

その後、ファームウェアのアップデートにより、Canon Log 3がCanon EOS R5に搭載され、さらに新しい Atomos Ninja V+を使ってHDMI経由で8K ProRes RAWの外部記録ができるようになった。そこで今回はこれらの新機能に関して、ダイナミックレンジを再テストしてみる。

ProRes RAW 8K外部記録のダイナミックレンジ

ダイナミックレンジのテスト方法に関しては、こちらを参照いただきたい。

PremiereProの8Kタイムラインでは、NVIDIAから貸与されたNVIDIA GeForce RTX3090グラフィックスカードによるファイル処理に問題はなかったが、GPUメモリは10~12GB程度、負荷は16%程度だった。ノイズリダクションを追加し始めると、メモリ使用量と負荷が急上昇するが、これは当然のことだ。主にGPUメモリの問題で、8Kで仕上げるならRTX3090カードをお勧めする。

The Canon EOS R5 connected to the Atomos Ninja V+. Image credit: CineD

EOS R5をHDMI経由で Atomos Ninja V+に接続すると、すぐにカメラが認識される。興味深いことに、Canon Log 2がガンマとして表示されている。これは後でPremiereProを使ってRAWをログ空間に取り込み、さらに分析するために使用する。

Camera information as displayed by the Atomos Ninja V+. Image credit: CineD

カメラ本体では、出力が「HDMI RAW」に設定されている場合、選択できる最低ISO値はISO800となっている。面白いことに、内部のRAW記録では最低ISOがISO400になっている。また、内部のH265 Canon Log記録でもISO400が最低ISO値となる。Canon Log 3の場合、最低ISO値は800になる。

ProRes RAWファイルをPremiereProで8224×4336(17:9)のタイムラインに展開し、ガンマカーブにCanon Log 2を使用すると、以下のような波形プロットになる。

8K ProRes RAW on an 8K timeline – the waveform plot of our Xyla 21 chart. Image credit: CineD

ノイズフロアの上に約12ストップ、内側に13ストップが確認できる。波形からもわかるように、低いストップ(つまりシャドウ)は非常にノイズが多い。興味深いことに、内蔵の8K RAW記録(ISO400)ではノイズが少なくなっている。

IMATESTでもこの結果を確認しているが、下のストップでは非常に高いレベルのノイズが計算されている(下の3つのグラフのうち最も低いものに表示されている)。そのため、ダイナミックレンジはS/N比2で10.4ストップ、S/N比1で11.8ストップとなっている。とはいえ、ノイズフロア内(真ん中の図の青い11.8の線より上)では、より多くのストップが確認できる。そのため、ポストプロダクションに精通していれば、ノイズフロアからそれらの追加ストップを “発掘 “することができる。

IMATEST result for external 8K ProRes RAW at ISO800 for the Canon EOS R5. Image credit: CineD

ダイナミックレンジに関する現在のベンチマークとして、ARRI Alexa Mini LF(フルフレーム)のARRIRAWでは、SNR=2で13.5ストップ、SNR=1で14.7ストップとなっている。ラボでテストをご覧いただきたい。

オーバーヒートについて:HDMI経由で8K ProRes RAWの外部記録を行う際、カメラのメニューで「スタンバイ:低解像度」を「オン」に設定すると、オーバーヒートは発生しなくなる(「オフ」に設定した場合は、よく知られているオーバーヒートの限界が適用される)。

残念ながら、外部記録は Atomos Ninja V+を介してトリガーされ、カメラのトリガーボタンは無効になる。

ISO800でCanon Log 3に8K H265を内部記録した場合のダイナミックレンジ

前述したように、ファームウェア1.3以降のEOS R5では、当初用意されていたCanon Logの次のLOGプロファイルとして、Canon Log 3も使用できるようになった。初期のC-Logプロファイルでは、ノイズフロアが「カットオフ」され、ダイナミックレンジが極端に制限されるという奇妙な挙動が見られた。残念ながらC-Log3も同じようになってしまった。

ISO800での8K H265 Canon Log 3の波形プロットは、約11段分と、弱い12段目が確認できる。

Waveform plot of the Xyla21 chart with internal 8K H265 C-Log 3 recording at ISO800. Image credit: CineD

IMATESTではこれを確認し、SNR=2で10.1ストップ、SNR=1で11.4ストップが表されている。

IMATEST results for internal 8K H265 C-Log3 recording at ISO800. Image credit: CineD

内部C-Logの結果(SNR=2で10.0ストップ、SNR=1で10.8ストップ)と比較すると、より良い測定値が得られているが、それほどでもない。残念ながら、この結果はフルフレームカメラとしては低い方だ。例えば、パナソニックのS5はSNR=2で12.1ストップ(UHD解像度でISO640のV-Log)、ソニーのA1は8K H265の内蔵記録(S-Log3)でSNR=2で11.9ストップとなっている。

EOS R5を4k DCIフルフレーム記録に切り替えると、ダウンサンプリングによりCanon Log 3の結果が改善される。IMATESTでは、SNR=2で10.8ストップ、SNR=1で11.8ストップとなる。とはいえ、ミラーレス・フルフレームの分野では、EOS R5はダイナミックレンジの点で他モデルに1ストップ以上の差をつけられている。

まとめ

Atomos Ninja V+による8K ProRes RAWの外部記録は、オーバーヒートの問題もなく、EOS R5のRAW記録機能を無制限にする。これは大きな進歩だ。

しかし、外部のProRes RAWファイルは非常にノイズが多く、実に「RAW」だ。ダイナミックレンジに関しては(予想通り)、キヤノンの内部RAW記録と同じ結果が得られている。シャドウは内部RAWの方が少しノイズが少ないが、S/N比のしきい値2と1では非常に似た値が得られている。

新しい内部ログガンマカーブ「Canon Log 3」は、内部H265記録のダイナミックレンジを少し改善しているが、ノイズフロアもカットしてしまっている。とはいえ、より保存性の高い内部記録ソリューションが必要な場合は、Canon Log 3の使用を全面的に推奨する。

EOS R5のダイナミックレンジと無制限の記録時間をフルに活用したいのであれば、 Atomos Ninja V+のHDMI経由の外部ProRes RAW記録を利用する以外に方法はない。

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