ブラックマジックデザインDaVinci Resolve用エディターキーボードレビュー

2019.12.18
ブラックマジックデザインDaVinci Resolve用エディターキーボードレビュー

NAB 2019で、ブラックマジックデザインは DaVinci Resolve用エディターキーボードを発表した。マルチモードジョグホイールを持つビデオ編集用のキーボードで、価格は995ドル。パソコンやマウス、あるいはサードパーティのコントロールパネルでは実現できない操作性を提供する。このエディターキーボードをレビューしたのでレポートする。

DaVinci Resolve Editor Keyboard. Image credit: cinema5D

同社は従来より、 DaVinci Resolveでグレーディング用のフルサイズのAdvanced Panelを提供してきた。これらはハイエンドポストプロダクションにおけるグレーディングの標準的な機材となっている。しかし、3万ドルのAdvanced Panelやそれを置くことができるグレーディングスイートに投資する余裕のない小規模な制作会社、あるいは個人ベースの映像クリエーターやカラリストには手の届かない存在だった。そこでこのようなユーザーをターゲットとして、数年前からミニパネルとマイクロパネルを発売している。一方、バージョン14以降のResolveでは、カラーグレーディング領域以外に、編集、VFX、サウンドなどに力を入れており、FairlightとFusionをResolveに統合した。その結果、バージョン15と16以降は、Adobe PremiereやFinal CutからResolveへ乗り換えるユーザーが目立っている。

NABで発表されたエディターキーボードは、 DaVinci Resolveの編集機能をさらに快適化する。しかし、このキーボードの価格は1000ドルというのも事実だ。

品質

DaVinci Resolve Editor Keyboard, bird eye view. Image credit: cinema5D

まず、このエディターキーボードの品質はかなり優れていると感じる。この作りなら何年も使え、おそらく落下しても問題ないだろう。エディターキーボードの中心は矢印キーと「Home」キーを備えた、QWERTYキーボードだ。機能グループは色分けされている。 QWERTYブロックの左側には17個の特殊機能編集キーがあり、Numブロックの右側にはさらに5つのキーとジョグホイールがある。キースイッチ自体は、ハイエンドのゲーミングキーボードに見られるような非常に高級なメカニカルスイッチのようで、快適な押下感が特徴となっている。ただし静かさは期待できない。

DaVinci Resolve Editor Keyboard, connectivity. Image credit: cinema5D

キーボード本体は金属製で、薄いグレーのコーティングが施されている。ハンドレストはプラスチック製で、ソフトタッチのゴムでコーティングされており、長時間使用しても疲れが少ない。背面にはメイン接続、キーボードに電力を供給するUSB​​-Cポート、および側面には他の2系統のUSB-Aポートがある。底板はプラスチック製で、ゴム製ストッパー、2つのライザー、およびネジの4つの取り付け部がある。

DaVinci Resolve Editor Keyboard, riser and mounting points on the keyboard’s backside. Image credit: cinema5D

ジョグホイール

DaVinci Resolve Editor Keyboard, jog wheel. Image credit: cinema5D

エディターキーボードのホイールは使用していて楽しい。 Tangentのコントロールパネル、Loudedeck +、Contour Shuttleホイールなども試してみたが、このジョグホイールは、この価格帯では独自の使用感がある。上面は金属製で、指でホイールを回転させるためのくぼみがあり、側面にはラバーが貼られている。ホイール全体をクリックすることができ、その上の3つのキーは、タイムラインをシャトル、ジョギング、またはスクロールする。また、ソフトウェアで反応を変えることができる。ホイールは、スクロールモードやジョグモードでは無制限に回転するが、シャトルモードでは、3時と9時の位置がリミットとなる。内側が無制限に回転し、外側のリングはシャトル用だ。ホイール自体は適度な重厚感があり、適切な慣性を持っている。これらの操作はパソコンのキーボードではできない。

パソコンのキーボードではできないこと

DaVinci Resolve Editor Keyboard, special keys left. Image credit: cinema5D

ジョグホイールはもちろんだが、専用キーボードにはパソコンのキーボードではできない機能が多々ある。専用キーにより、より高速で効率的な編集作業が可能になる。以下は専用キーボードにしかできない機能。

  1. パソコンのキーボードでは、ショートカットを覚えるのが大変。専用キーボードでは、キーキャップにコマンドが刻印されており、すぐに必要な機能のキーを見つけることができる。
  2. ショートカットを1つのキーに統合し、その機能を片手で使用することができる。例えば「元に戻す」キーは、このキーだけを押せばよい。
  3. キーとジョグホイールを組み合わせたコマンドにより、常にマウスに手を置いてマウスクリックとドラッグを繰り返さなくても良い。

明らかに、2番目、とりわけ3番目は、エディターキーボードのメリットだろう。個人的に、最もよく使用した操作は、カットページでのトリミングだった。カーソルをトリムするクリップの上に移動し、左手で「トリムイン」または「トリムアウト」を押したままジョグホイールを動かす。これにより、ボーダークリップと編集中のクリップの2つの画面がビューアーに表示され、編集点の2つの線が表示される。クリップにトリミングしたフレーム数も参照できる。パソコンのキーボードのショートカットを使用しても同じくらい速く操作できるユーザーもおられると思うが、エキスパートでなくてもそれができるのが専用キーボードの利点だ。

DaVinci Resolve Editor Keyboard, jog wheel with special keys. Image credit: cinema5D

スリップキーは、スリップ操作の場合と同様に機能し、トランジションを変更したり、カーソルが上にあるクリップをロールしたりできる。これはおそらくこのエディターキーボードの最もユニークな機能で、スムーズで快適なトリミングができる。

問題点

DaVinci Resolve Editor Keyboard, source window and timeline toggles. Image credit: cinema5D

とはいえ、キーとホイールをの組み合わせて使用するこれらのユニークな両手操作は、ENG環境での編集に向いているようだ。例えば「Smooth Cut」(短いディゾルブでつなぐ)や「Close up」(基本的に自動パンチイン)などが考えられる。したがって、このような使用環境でない場合は、かなり高価な買い物になってしまうかもしれない。

DaVinci Resolve Editor Keyboard, arrow keys integrated into main block of keys. Image credit: cinema5D

次に、QWERTYブロック内に矢印キーが配置されているのは紛らわしい。1か月使用した後でも慣れることはできなかった。また「End」キーがなく、「Home」キーがある。更に最も深刻なのはCutページとEditページ間での操作の不一致だ。間違いなく、このキーボードはCutページで使うことを想定しており、あるページでは機能するが他のページでは機能しないキーもある。例えば「Trans」、「Sync-Bin」、「Trim Editor」、 「Pic in Pic」はCutページでのみ機能し、「Hand」はEditページでのみ機能する。FusionやFairlightページでは、Trim機能も機能せず、Colorページではクリップをジョギングすることしかできない。

想定される用途

DaVinci Resolve Editor Keyboard. Image credit: cinema5D

Resolveはエディター、VFXアーティスト、カラーリスト、サウンドエディターを幅広くカバーするソフトウエアだ。しかし、エディターキーボードは、特にCutページを意識したアクセサリーといえる。CutとEditは本当に異なる操作なのか、これらを使用するユーザーは異なった操作をするのか、特殊なトリミング機能が明白に利益をもたらすほど有用か、といった問いに対する答えが、おそらくエディターキーボードの有用性を決定する。

まとめ

このようなキーボードが有用なアプリケーションは、恐らく存在するだろう。同社はそのような用途を想定して、このキーボードを発売した。しかし、Cutページの付属品という位置付けを脱しないと、多くのユーザーには無用のアクセサリーとなるだろう。

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