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映像制作に関する2018年の技術動向

映像制作に関する2018年の技術動向

2018年に入り、NABが迫ってきたが、また新しい技術を目にすることだろう。ここでは、放送や制作に大きな影響を与える3つの技術動向を見てみよう。

プロダクションや放送業界の将来に最も重要な3つの技術を選ぶとすれば、それはIP、HDRおよびフルカラーLED照明になるだろう。その理由をそれぞれ見ていこう。

IPとは?

高性能ビデオ技術とコンピューター技術の融合は、処理能力とネットワーク帯域幅が拡大してきた過去10年間の技術開発の道程だ。スタジオでのテレビ制作やプロダクションで使われるプロ用機器の多くは、ビデオI / Oと内部ストレージ、そして強力なコンピューターの組み合わせで成り立っている。しかし、それらにそれぞれの特徴を持たせ、差別化しているのはソフトウェアだ。

The Grass Valley LDX86 Universe 4K camera and XCU HD/4K XF IP provides 4K over a single wire 10GigE link

今日のカメラも、本質的に画像センサーとレンズマウントを備えたコンピューターと言える。もちろん、それぞれのハードウェアが搭載されており、FPGAやASICが画像処理を行っているが、本質的に機能はファームウェアでコントロールされている。

テレビの視聴者側では、セットトップボックスがビデオストリームを受信し、デコードしている。あるいは、スマートフォンやタブレットなら、直接ビデオストリームをデコードしている。これらはすべて非常に一般的なものだが、低コストの一般的なハードウェアはソフトウェアに依存している度合いが大きい。

これは単にハードウェアに関するものではなく、ソフトウェアに関するものであり、可能な限り効率的に大量のデータを処理する。これによりコストが大幅に削減され、かつては不可能だったことも可能となり、柔軟な使い勝手が実現している。

ビデオデータ

本質的には、撮影から視聴に至るまで、コンピューター同士がデータをやり取りしている。

従来は、ビデオはベースバンドのビデオ信号だったが、現在ではビデオはデータと見なす必要がある。従来のベースバンドのビデオで各デバイスに入出力するより、コンピューターがネットワークでデータを処理する方がはるかに効率的だ。

The Grass Valley K-Frame production switcher offers 4K IP networking over 10GbE.

IPは「インターネットプロトコル」の略で、現在のようにビデオワークフローがデータ中心に移行するずっと前から、コンピューターがネットワークを介して通信することを担っている。

The Grass Valley IP enabled family for a full end to end 4K IP broadcast and live production workflow.

我々が気にいらないと言っても、ビデオはどんどんデータ化されている。そしてそれを扱うためには、ITワークフローやITハードウェア、あるいはITの知識を必要とする。このような移り変わりを理解し、受け入れ、そしてそれを使いこなすことが、我々にも求められている。

HDR

放送機器展示会のショーフロアを歩いていると、よく聞こえてくる単語がある。IP、UHD、そしてHDRだ。これら3つの技術は、本質的に相互にリンクしており、必ずしも一緒に使われるとは限らないが、しばしば同居すると考えてよいだろう。すべてのことを理解する必要は無いが、少なくともHDRは理解しておく必要があるだろう。

HDRはHigh Dynamic Rangeの略で、従来のHDTV規格(およびテレビディスプレイ)よりもはるかに明るいハイライトで、よりリアルなコントラスト比で映像を撮影、処理、配信、表示できるテクノロジーだ。

HDRは、UHD(4K)を必ずしも意味するものではない。実際、テレビやディスプレイ上では、HDRのHD映像はSDR(標準ダイナミックレンジ)のUHD4K映像よりもはるかに美しい。

もちろん、HDRのUHD4K映像は理想的だが、多くの放送業者にとってUHD4Kでの制作や放送は、まだ商業的に確立されているとは言えない。

幸いなことに、その段差を一気に飛び越えてUHD4Kに移行しなければならない、ということではない。この基盤を築く2つのテクノロジー、即ちエンドツーエンドのIPインフラと整えつつ、HD解像度でHDRに移行して行けばよいのだ。

具体的なHDRへの対応は長くなるのでここでは取り上げないが、HDRについては度々取り上げているので、興味あれば過去の記事を御覧いただきたい。

照明の進化

証明に関しては、より多くの発色、より柔軟なコントロール、より明るく、が進化の方向だ。これらの進化により、視聴者はより美しい映像を見ることができ、制作者はより創造的な可能性を追求できる。新しい技術をリードしていくのは難しいことが多く、進化しないところもあるが、大きく進化しているところもある。

The ARRI SkyPanel has become synonymous with the LED softlight, and the S360 is the largest and most powerful LED softlight available.

制作現場の照明技術は、一世紀以上にわたって重要な変革を遂げている。低消費電力のポータブルLED照明は、もう10年以上も前から使われているが、革新的な改善というよりも妥協を積み重ねてきたほうが多いかも知れない。

LEDは光量やサイズに限界があり、スペクトル性能はあまり正確ではないという限界もある。

しかしこれは、大きな出力が可能で、正確で完全に色調整できるRGBWやRGBWW LEDライトにより、大口径のソフトライトとフレネルの両方で状況が一変した。

ここまで述べてきたことに共通しているのは、コンピューターとソフトウェアの台頭だ。照明は、マイクロコントローラと詳細にコントロールできる制御ソフトウェア(ライトエンジン)の統合が、妥協の産物だったLEDライトを、今まで見たこともないような有用なLEDライトパネルに変えたのだ。

The Litepanels Gemini offers ultimate control of its calibrated RGBWW LEDs and is an example of the latest in LED lighting technology.

赤、緑、青および白色のLEDチップを個別に制御するソフトウェアにより、LED照明器具で緑の制御ができるようになったことで、正確なCCT曲線を実装することが可能になった。すべての光を個別にキャリブレーションしてターゲットプロファイルに一致させることが可能となったのだ。これはすべてのライトを同様の光に調整することができるということだ。

また、任意の色を調整することが可能になり、ゲルを使って調整していたと同じことができるようになった。特殊効果もソフトウェアで自由自在に操ることができる。

このような詳細な制御により高精度の照明コントロールを行う手法は今後の照明器具の方向だろう。

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