
DZOFILMは、Arlesシリーズに2つのフルフレーム用シネマズームレンズを追加した。25-75mm T2.6と65-180mm T2.6だ。両レンズとも、11本の「Arles」単焦点レンズと同じ前玉径、ギア位置、16枚羽根の絞り機構を採用しており、重量はそれぞれ1.8kg未満だ。また、65mmから75mmの焦点距離が重複しているため、2本のズームレンズを組み合わせても画角のギャップが生じない。価格は、恒定絞りを持つほとんどのフルフレームシネマズームレンズを下回っている。
2本のレンズは、「Arles Zoom 25-75mm T2.6」と「Arles Zoom 65-180mm T2.6」だ。どちらもズーム全域でT2.6の開放F値を維持し、T22まで絞り込め、43.5mmのイメージサークルをカバーする。25-75mmは3倍ズームで、8群22枚の構成、センサー面からの最短撮影距離は0.51m、PLマウント時の全長は178.1mm、重量は約1,767g だ。65-180mmは2.8倍ズームで、8群20枚の構成、最短撮影距離は0.89m、PL仕様時の全長は190.85mm、重量は約1,782g だ。各レンズの価格は2,899ドル/2,499ユーロで、2本セットはハードケース付きキットとして5,199ドル/4,499ユーロで販売され、今月から出荷が開始される。
ズームレンズが「Arles」シリーズに占める位置づけ
DZOFILMは2024年6月に25mmから100mmまでの5本のT1.4レンズからなる「Arles」単焦点レンズシリーズを発売し、同年開催のIBCでは14mm、21mm、40mm、135mm、180mmを揃えた「Arles Bセット」を追加、2025年11月には18mm T1.4でラインナップを完成させた。これで計11本の単焦点レンズとなり、DZOFILMはこのシリーズを、共通のカラーサイエンスと操作基準を持つ「11本の単焦点レンズと2本のズームレンズ」からなるマトリックスと位置付けている。より柔らかく温かみのある描写を求めるユーザー向けに、調整済みのArles Lustreバリエーションも用意されている。
Arles単焦点レンズは、個性的なガラスというよりは、クリーンで技術的に正確な光学系として設計されており、ズームレンズもその方針を踏襲している。DZOFILMは、フレアやゴーストを抑制する独自の低彩度コーティング、ボケたハイライトを円形に描く16枚羽根の絞り、そして同社が「アルル特有のルック」と呼ぶ特性を採用している。実際、これにより単焦点レンズの所有者は、撮影範囲の拡大や作業効率向上のためにズームレンズを追加しても、セットアップ間の色やコントラストに目に見える変化が生じない。これこそが、同一シリーズ内で機材を揃える最大のメリットだ。

光学設計と解像度
DZOFILMは、ズーム全域にわたってフィールドカーブ、色収差、解像力を制御する4群のリンク式光学系について説明している。25-75mmは7枚の超低分散(ED)レンズと5枚の高屈折率(HRI)レンズを採用し、65-180mmは7枚のEDレンズと2枚のHRIレンズを採用している。同社によれば、この組み合わせにより、コントラストを維持しつつ球面収差やコマ収差を抑制できるという。具体的な数値として、8,000ラインのテストチャートにおいて、65-180mmはT2.6の開放絞りでも中央部で最大56ラインペアの解像力を発揮する。DZOFILMはこれを「8Kの解像力」として宣伝している。
このテストチャートの数値はメーカーによる測定値であり、独立した第三者機関によるものではない。また、1つの焦点距離における中央部の単一測定値だけでは、四隅の性能や25-75mmの広角端の性能については何も示していない。さらに、この価格帯のレンズメーカーが解像度の数値を公表すること自体が珍しいことであるため、少なくとも購入者にとっては、漠然とした「シャープさ」の約束ではなく、自身のチャートと照らし合わせて確認できる具体的な指標となる。
両レンズともパーフォーカルであるため、焦点距離が変わってもピントは維持される。また、DZOFILMによれば、望遠端ではフォーカスブリージングはゼロに近くなるという。パーフォーカル特性こそが、シネマ用ズームと、静止画用ズームを再ハウジングしたレンズを区別する特徴だ。フォーカスブリージングは事実上感知できないとされている。同社は、通常ブリージングが最も顕著になる広角端の数値を公表していないため、25mmでラックフォーカスを計画している人は、その挙動を自分で確認する必要がある。

単焦点レンズと互換性のあるメカニズム
これらのズームレンズは、Arles単焦点レンズと同じインターフェースを備えている。フロント径95mm、M86フィルターネジ、0.8 MODのギア、270°のフォーカススローだ。ギアの位置が単焦点レンズと一致しているため、単焦点レンズを外してズームレンズを取り替える際、フォローフォーカスやレンズモーターの設定を再調整する必要はない。ズームリングの回転角度は100°だ。絞り回転角度は25-75mmモデルで79.55°、65-180mmモデルで82.4°であり、いずれもマニュアル操作となる。フォーカススケールにはメートル法とインペリアル法の2種類がある。
筐体はアルミニウム合金製で、防塵・防滴仕様となっており、2本のレンズの重量差は15g 以内、全長は約13mm の差しかない。一対のレンズの重量バランスは、三脚よりもジンバル使用時においてより重要となるが、各々約1.77kgという重量は、固定絞りフルフレーム用シネマズームとしては軽量だ。比較として、Arlesシリーズの単焦点レンズは25mmが約1,490g 、135mmが1,846g であるため、これらのズームレンズは3つ以上の焦点距離をカバーしながら、1本のより長い単焦点レンズとほぼ同じ重量だ。

65-75mmの焦点距離の重複
2本のズームレンズは、互いに密着するのではなく、65mmから75mmの範囲で焦点距離が重複している。DZOFILMの主張は実用的なものだ。25-75mmの望遠端から撮影を開始したショットは、フレーミングの段差なく65-180mmで再現できる。異なるレンズを装着した2台のカメラを同じ焦点距離で並べれば、アングルを切り替えた際にも視野が完全に一致する。また、これは広角ズームの75mm設定と望遠ズームの65mm設定が、2本のズームレンズで構成されるドキュメンタリーやインタビュー用キットが最も頻繁に使用される中距離域に位置していることを意味する。

マウント、アダプター、そしてイメージサークルの問題
レンズは標準でPLマウント仕様で出荷され、EFマウントキットは別売となっている。また、リアフランジが短いため、ユーザー自身で交換が可能だ。DZOFILMのOctopusアダプターを使用すれば、対応マウントをソニー E、Leica L、 ニコンZ、キヤノンRF、富士フイルムX、DJI DXマウントのカメラに対応する。同社はまた、これらのズームレンズに自社製の「マーリン 1.4xエクステンダー」を組み合わせている。これにより、パーフォーカル特性を維持しつつ、35-105mmおよび91-252mm相当の焦点距離に変換でき、DZOFILMによれば光量損失は最小限に抑えられている。同社は発売時に、マーリンの光量損失を1ストップ未満と評価していた。
仕様表で確認すべき重要な点として、これらのズームレンズは43.5mmのイメージサークルをカバーしており、これはフルフレーム相当である。一方、「Arles」シリーズの単焦点レンズは46.5mmをカバーしており、ARRI ALEXA 65などのVista Visionセンサーでは、より長い焦点距離でも十分なカバー範囲を確保できる。したがって、「単焦点+ズーム」のアルルキットは、一律に大判フォーマットに対応しているわけではない。RED V-RAPTORやVVモードのALEXA 65では、ズームレンズは単焦点レンズがカバーする範囲をカバーできない。DZOFILMが言及する「一部の中判フォーマット対応」は、Marlin 1.4xを装着した場合にのみ適用される。これにより、焦点距離とイメージサークルの両方が倍増する。これは、追加のレンズ群と約1段分の光量損失を代償として、より大きなセンサーに対応するための実用的な方法だ。
価格比較
1本あたり2,899ドル/2,499ユーロのArlesズームレンズは、DZOFILMが現在1,999ドルから直販しているArles単焦点レンズ1本よりも高価だが、定焦点フルフレームズームレンズを扱う老舗シネマブランドが設定している価格よりははるかに安い。
25-75mm T2.6と65-180mm T2.6はそれぞれ2,899ドル/2,499ユーロ/2,149ポンドで、ハードケース付きの2本セットは5,199ドル/4,499ユーロ/3,869ポンドだ。2026年9月より、DZOFILMの公式ストアを通じて出荷が開始される。詳細はArles Zoomの製品ページで確認できる。

































