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量子ドットを用いた新しい3層センサー設計の研究開発

量子ドットを用いた新しい3層センサー設計の研究開発

Advanced Materials誌に掲載された論文によると、量子ドットを新しい3層センサーの設計に応用できる可能性が示されている。現在、米国と韓国の研究グループが、この新しい可視光イメージング技術について研究している。

数週間前に、SIGMAのフルサイズFoveonチップの現在の開発状況について、公式声明をレポートした。この3層センサー技術は、デモザイク処理(またはデベイヤー処理)を必要とせずに、より詳細な画像を生成することを約束している。

しかし、3層センサーの設計に取り組んでいるのは、日本企業の研究開発部門だけではない。実は、イリノイ州のノースウェスタン大学(米国)と韓国の3つの研究機関の研究者が、現在のベイヤーセンサー技術を超える量子ドットの利用を模索しているのだ。彼らの研究成果は、最近、科学雑誌『Advanced Materials』に掲載された。

ベイヤー式センサーと3層式センサー

最近のデジタルカメラの多くは、ベイヤーパターンのセンサーを採用している。このセンサーでは、赤、緑、青のフィルターが各受光面の上部にあり、RGBのモザイクを形成している。これにより、特定の周波数の光だけが受光部に到達することができる。このフィルターがなければ、センサーに当たった光の強さを記録することはできるが、結果は白黒画像になる。

このシステムの問題は、センサーの各ピクセルが、RGB3色チャンネルのうち1色についてのみ真の情報を提供できることだ。そこで、近傍の画素の情報を使って、失われたデータを復元するデモザイク処理(またはデベイヤリング処理)が行われる。

Bayer pattern sensors. Source: Wikipedia

一方、3層センサーは、特徴的な3つの感光層を重ね合わせたもの。入射光の波長に応じて、センサー内の異なる深さで検出されるため、各ピクセルに完全な真のRGBデータが得られ、補間(=デモザイク)が不要になる。

SIGMA Foveon three-layer sensor technology. Source: SIGMA

量子ドットとは?

今回の研究で提案されたデザインは、一見するとSIGMAのものと似ているが、実は異なる。まず、この代替3層センサーは、量子ドットを利用している。

量子ドットは、数ナノメートル(10億分の1メートル)の半導体粒子だ。その大きさによって、特定の波長の光だけを吸収することができる。

量子ドットセンサー

この研究では、量子ドットを垂直に積み重ねることで、高解像度・高ダイナミックレンジの画像を生成することができるフォトトランジスタアレイを作成する方法を示している。

この設計では、「青色」の量子ドットは青色光のみを検出することができる。そして、真ん中の「緑」層は緑と青の両方のチャンネルの情報を受け取り、「赤」量子ドットはRGB3成分すべての情報を収集する。驚くべきことに、これはSIGMAのFoveonセンサーとはまったく逆の現象だ。

Image credit: Advanced Materials

実現性

高解像度、高ダイナミックレンジの画像を生成するだけでなく、この技術はコスト面でも優れているようだ。しかし、現在の開発状況を見ると、このセンサーの実現はまだかなり先であることがわかる。

実際、製造プロセスの実現可能性を検討し始めてはいるものの、店頭に並ぶほどの高画素密度センサーを開発するには、まだ長い課題を克服する必要がある。ベイヤーフィルターフリーのフルフレームセンサーの開発競争は、まだまだ続く。

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