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カラリストになる方法 - Ollie Kenchington氏へのインタビュー

カラリストになる方法 - Ollie Kenchington氏へのインタビュー

Ollie Kenchington氏はKorro Filmsのカラーディレクター、Korro AcademyBlackmagic Certified Trainerであり、cinema5Dへの寄稿もしている。彼は、最近「Mastering Color」と呼ばれる2番目のカラーグレーディングコースをリリースした。今回、カラー・グレーディングについて、また彼がこの仕事に就いたきっかけや、カラリストへのアドバイスについて、インタビューを行った。

Ollie Kenchington – Lead colorist

カラーグレーディングを始めたきっかけは何ですか?

OLLIE:私は10年以上の間、プロのカラーグレーディングに携わっていますが、きっかけは2002年にドキュメンタリー、ロード・オブ・ザ・リング(原題:The Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring)を見てカラリストになりたいと思いました。 「Lord of the Rings」の上級カラリスト、Peter Doyle氏についての部分です。確かMoriaの鉱山のシーンがあったと思いますが、PeterはLegolasの目を青くしました。彼は、LegolasがBalinの墓から飛び降りたシーンでもそのようにしました。私はそれに驚いて、自分もやってみたいと思ったことを覚えています。その後、Peterのメールアドレスを見つけて彼に連絡しました。驚いたことに、彼は返事をくれただけでなく、ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還(原題:The Lord of the Rings: The Return of the King)のカラーアシスタントとしての仕事をくれたのです!

しかし私はReturn of the KingとPrisoner of Azkabanの仕事を断ってしまったのです。私のキャリアの中で最も後悔することでした!

残念なことに、いろいろな理由でうまくいかず、ニュージーランドに行くことはありませんでした。しかし約1年後、Peterがロンドンに来たとき連絡をくれたのです。彼は大きなプロジェクトがあると言い、私にこの新しいプロジェクトで彼のカラーアシスタントになって欲しいと言いました。しかしまたしても、私は彼を失望させました。その時、私はAppleの、割の良い仕事をしていました。また、自分自身をカラーグレーディングだけに制限するのもどうかと思っていました。編集や撮影にも未練があったからです。彼が私に依頼していた映画はハリー・ポッターとアズカバンの囚人(原題: Harry Potter and the Prisoner of Azkaban)でした。(Peter Doyle氏はハリー・ポッターシリーズのカラリストを務めた)私はこれらの素晴らしい仕事を断ってしまったのです。私のキャリアにとって最悪の判断でした。

Peter Doyle氏との話はどうでしたか?

OLLIE:私は、カラーグレーディングのことを言ったという事実を彼が評価したのだと思っています。今日では誰もがカラーグレーディングについて知っていますが、当時(2002/2003)のデジタルカラーグレーディングはまだ初期段階でした。私は、彼はDVDを見た誰かがメールを送ってきただけと思ったと、単純に思ってしまったのです。

今日のカラーグレーディングについてどのように思いますか?

OLLIE:すべての作品にグレーディングできればと思います。いつでも2つや3つの短編映画やドキュメンタリー、あるいは情熱的なプロジェクトがあなたの近くで作られています。靴ほどの予算の映画でも、カラリングする必要があります。ポートフォリオを構築することは、自分ができることを人々に知ってもらう最も重要なステップです。独自のスタイルを構築する一方で、作品を作るツールと理論も徹底的に勉強する必要があります。仕事を忘れて本を読めと言っているのではありません。バランスが必要なのです。また同時に技術的な知識と創造力も養う必要があります。

本当に賞賛できる良いDPを見つけられれば、大きな助けになるでしょう。彼らと関係を築き、彼らが高品質のコンテンツにあなたのグレーディングを望んでいるなら、それは理想的な展開です。

一つの方法をマスターしたと思っても、更に深く研究し、他のカラリストがやっていることを見て、あなたのスキルを磨いてレベルアップしてください。ネットワークを作って多くの映像製作者に会い、本当に賞賛できる良いDPを見つけられれば、大きな助けになるでしょう。彼らと関係を築き、彼らが高品質のコンテンツにあなたのグレーディングを望んでいるなら、それは理想的な展開です。しかし、本当に低予算で低品質の作品でしか仕事ができなければ、グレーディングのできにかかわらず、あなたの才能を見せることができません。貧弱な作品を良い作品にすることに努力するのは、あまり良い選択ではありません。作品をよく見れば、良い仕事ができるでしょう。良いDPやディレクターを見つけることが重要なのです。

カラリストの技術的知識、美的感覚、そして経験の重要性をどのように考えていますか?

OLLIE:私は、映画制作のある分野では技術的なスキルを持っているかもしれないけれど、技術的なことには疎い偉大なDPたちを知っています。私は、カラリストは制作全般のワークフローを理解している技術者であるべきと思っています。ガマット、ガンマ、圧縮、加算混合の仕組み、人間の視覚がどのように機能するか、などプロの観点から知っておく必要があります。

私は、カラリストは制作全般のワークフローを理解している技術者であるべきと思っています。

カラーグレーディングについて私が思うことは、それが技術的な側面と創造的な側面のブレンドであるということです。私は両方の要素を重視していますし、誰よりもその両方を意識する必要があると思っています。カラリストは、映像に豊かさと活気を与え、作品をより良くする必要があります。そのためには、ツールやその仕組みも理解しなければなりません。その両方を把握していなければ、良いカラリストにはなれません。

カラリストとして最新のものを維持する方法は何ですか?

OLLIE:私は本をたくさん読んでいます。多くのホワイトペーパーも読みます。はじめはWikipediaで、ガンマとガマットの違いを知りました。今でも全てが分かっているわけではありません。知っておくべきことのほんの一部を知っているだけなのです。他にはもっと深く知っている人がいます。私はそれらの人々から絶えず学び、自分の知識としています

私にとって、それは長年にわたる多くの異なる情報の集大成です。

基本的な写真技術、特に露出に関する知識を大学で学んだことは、本当に助かりました。私が美術の講義で学んだ色理論についても、多くの知識となっています。個人的に私にとって、それは長年にわたる多くの異なる情報の集大成です。 1999年にアートスクールで学んだ基礎コースでの色理論セッションに始まり、今までに起こったことのすべてです。しかし学ぶべきことまだまだあります。それは1冊の本のようなものではなく、何年にもわたって段階的に取り組み、つなぎ合わせたものです。たとえばHDRのカラーグレーディングをする場合、いろいろな情報源でHDRに関する多くの情報を得ることができますが、実際に自分でやってみなければ意味がありません。

良いカラリストとそうでないカラリストの違いは何ですか?

OLLIE:最も重要なのは、自分の作品がどのように影響し、作品をどのようにサポートできるかを認識できることだと思います。優れたカラリストは作品の構成を理解し、その構成に対する色の影響を理解し、その構成の連続性の重要度を理解します。ある意味、それは表に出ない隠れたもので、地味なものです。YouTubeでグレーディングに関するよくできたチュートリアルを見ると、映像は実に美しく、幻想的で、写真のように扱われています。確かに、それは印象的かもしれませんが、それはカラリストとしては何も教えてくれません。ディレクターやDPとの仕事がうまくいっているか、クライアントとのコミュニケーションがうまくいっているかはわかりません。それらは、カラリストの作業を見せているだけで、本質を見せていません。

優れたカラリストは作品の構成を理解し、その構成に対する色の影響を理解し、その構成の連続性の重要度を理解します。ある意味、それは表に出ない隠れたもので、地味なものです。

カラリストにはスタイルはありますか?

OLLIE:確かにコントラストとカラーで肌の色調や「記憶」色を作っています。カラリストは皆どのように見えるかを知っているだけでなく、特定の色のパレットを使ってスタイルを確立しています。しかし、もしそのスタイルを何の理由もなく複数の映画で使い、「これは私のスタイルです」と言うなら、良いカラリストではないでしょう。私がグレーディングしたものの中で、同じスタイルを使った作品はほとんどありません。ほとんどのクライアントは映像をベストに見せたいのであって、そこにスタイルを押し込むことは望ましくありません。スタイルを求めているクライアントでは、肌の色調、黒人の肌の色、白人のそれ、緑と赤の扱いや空の色の扱いなど、非常に具体的な注意が必要です。彼らは「orange and teal(カラーグレーディングにおける代表的なパターン)がほしい」とか「Wes Anderson(ウェス・アンダーソン:米国の映画監督)のルックが欲しい」と言っているわけではありません。それは他の映画の台本を使うようなもので、独自性を欠くことになるからです。そのようなものは受け入れられません。

MZedの「マスタリングカラー」コースの狙いは何ですか?

OLLIE:私の目標は、カラリストが作業するときに取るべき一連のモジュールを作成することでした。私が使っていたソフトウェアやハードウェア、デモ素材ではなく、コンセプトやワークフローを重視したものにしたいと思っていました。私はこれらのレッスンが色の芸術と科学の根幹をなすものとして使用されることを願っています。その上で、アマチュアカラリストは、どのソフトウェアを使用しても自分のソフトウェアスキルを使うことができます。 DaVinci Resolveのコースではありません。既にResolveでどのボタンを押すかを教えるチュートリアルがあります。しかし、ボタンを押す方法を学ぶ前に、なぜそのボタンを押すのかを知る必要があります。それが「マスタリングカラー」コースの狙いです。

ありがとうございました

OllieのコースMZedで行われる。コースには7.5時間のレッスン(ダウンロードできる素材が20GB以上)があり、最初のレッスンは無料で視聴できる。

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