ソニー・シネマライン – 16ビットRAWは、真の16ビットセンサー読み出しか?

ソニー・シネマライン - 16ビットRAWは、真の16ビットセンサー読み出しか?

FX9、FX6、FX3を含むSony Cinema Lineは、発売されてから約1年が経過した。この価格帯のカメラとしては画期的な、16ビットのリニアRAW信号を出力できることが大きな特徴だ。今回はこの機能についてレポートする。

ソニーのシネマラインが発表されたとき、これらのカメラに16ビットのリニアRAW出力が搭載されていることに非常に驚いた。実は、16ビットのセンサー読み出しは、ハイエンドのシネマカメラだけのものだ。

さらに、16ビットのセンサー読み出しと裏面照射技術は、旧モデルのFS7やFS5に比べて、ダイナミックレンジと画質が大幅に向上することを意味している。少なくとも、そう期待していた。

しかし、ソニーのFX6とFX9をラボテストにかけてみたところ、それほど素晴らしいものではないことが分かった。ダイナミックレンジはFS7やFS5とほぼ同じに留まっているのだ。

Sony PXW-FX9
Sony PXW-FX9. Source: Sony

この結果を見て、センサーの読み出しは実際に16ビットなのか、それとも「マーケティング」のためだけのものなのかを調べてみたくなった。

「16ビットリニアRAW」とは何か?

その前にRAWについて、まず簡単な説明をしておこう。

デジタルセンサーは、光の量を測ることが唯一の目的だ。光は、空間をランダムに移動する粒子(フォトン)の海と考えることができる。この粒子がセンサーの画素に到達すると、画素ごとにその数が記録される。

Sony Cinema Line FX6
Sony PXW-FX6. Source: Sony

そして、カメラは1つ1つのピクセルが受け取った光の量に比例して、デジタル値を割り当てる。人間の目とは異なり、デジタルセンサーは光を直線的に記録する。つまり、光の量が2倍になれば(つまり、露出を1段上げれば)、デジタルファイルに記録される数値も2倍になる。

それがRAWファイルとなる。

ビット深度について

このプロセスでは、デジタルファイルのビット深度と、カメラが理論的に表現できるダイナミックレンジの段数が直線的な関係になっている。実際には、ビット数も写真のストップ数も、ある量を2倍にしたり、半分にしたりする。

例を挙げると、16ビットのリニアRAWファイルは、最大で16ストップのダイナミックレンジを表現できる。しかし、これはカメラが表現できる最大のダイナミックレンジであって、実際にセンサーが捉えられるダイナミックレンジではない。

Bits and photographic stops relationship
Stops and bits relationship.

実際には、RAWファイルのビット深度は、測定されたセンサーのダイナミックレンジに基づいて選択される。例えば、13.2ストップのダイナミックレンジが得られるカメラのセンサーであれば、16ビットを使う意味はなく、この場合は14ビットで十分なのだ。

ソニーのカメラに関して

ソニーのミラーレスカメラを含め、現在発売されているデジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラのほとんどは、14ビットのRAW静止画撮影機能しか備えていない。

しかし、RAW動画の撮影は、それよりもはるかに難しい作業となる。そのため、RAW動画ではセンサーの読み出しが12ビット以下になるのが一般的だ。

16-Bit RAW
Sony ILME FX3. Source: Sony

本来なら、ソニーの最新世代の裏面照射型センサーは、理想的な条件で撮影できるダイナミックレンジ全体を表現するためには、16ビットの読み出しが必要かもしれない。しかし、これはRAW動画の撮影には当てはまらない。

例えば、ソニーIMX455センサー(ソニーα7RIVに使用されているのと同じセンサーだと思われる)は、16ビットのセンサー読み出しモードを持っていることが、ソニーの公式センサーデータシートで確認されている。実際、このセンサーは、16ビットのアナログ/デジタルコンバーターを搭載した天体写真撮影用カメラ「ASI6200」に採用されている。

しかし、このモードは静止画撮影時にしか対応していない。センサーの読み出しは、フル解像度では9.42fpsまでは12ビットに、21.33fpsまでは10ビットに低下する。

ASI6200 specifications
The ASI6200 astrophotography camera features a 16-bit ADC. Source: ASI

FX9、FX6、FX3のソニーシネマラインのカメラで使用されている正確なセンサーモデルはわからないが、61メガピクセルのソニーα7RIVよりもはるかに低い解像度だ。従って、これらのセンサーがRAW動画を撮影するのに十分な高いフレームレートで16ビットの読み出しモードを持っているとはとても信じられない。

もちろん、ソニーシネマラインのカメラには16ビットRAWセンサー読み出しモードは搭載されていないが、16ビットデータ出力で信号を配信することは、画質を維持する上で別のメリットがあることをソニーは確認している。しかし、この機能を16ビットRAW出力として宣伝することは、筆者の意見では欺瞞的だ。

まとめ

この件についてソニーに問い合わせたところ親切に回答していただいたが、残念ながらソニーシネマラインのセンサー読み出しモードについては開示しないことになった。

ただし誤解しないでいただきたい。筆者は、ソニーシネマラインのカメラは非常に優秀なツールだと信じている。4K 120fps記録やファストハイブリッドAFなど、驚くべき機能が満載されている。しかし今回の件に関しては明らかにされなかったため、少し疑問を感じている。

Featured image credit: sony.it

Leave a reply

Filter:
all
Sort by:
latest
Filter:
all
Sort by:
latest

Take part in the CineD community experience