広告

中判ビデオカメラの時代は来るか? — Phase One XF IQ3

中判カメラでビデオを撮る時代が、徐々に来ているような気がする。この1週間、フォトキナの会場を歩き回って、その気配を強く感じた。また、中判カメラメーカーと話してみると、それは確信に変わった。ここではデンマークの光学機器メーカーPhase OneXF IQ3を紹介しよう。

Phase One XF Camera with IQ3 back

中判カメラでの動画撮影

デジタルシネマの世界では、より大きなサイズのセンサーへのトレンドを見ることができる。DSLRでビデオが撮れるようになってからは、その傾向が加速している。写真の世界では特にその傾向があり、ビデオと写真が融合しつつある現在では、今回のフォトキナは大きな節目となっている。

Phase OneのXFカメラを見ていると、cinema5Dをスタートさせた時と重なる。5D Marl IIが世に出た時だ。やがてこれが映像業界に革命を起こすことになるなど、開発したキヤノンでさえ思いもよらないことだったのだ。中判カメラの世界においても、同じようなことが起こりつつあるのではないだろうか。

medium format video camera Phase One XF

Phase One XF と IQ3 カメラバック

Phase OneのブースにAtomosのShogun Flameを持っていくと、怪訝な顔をされた。単にHDMI出力を記録して欲しかっただけなのだが。彼らがハイエンドのフォトユーザーをターゲットにしているのは当然だし、ビデオに関してはあまり興味がないのはよく分かる。しかし、彼らもまた、この製品がビデオも撮るフォトグラファーやシネマトグラファーに使われるかもしれないことに、気が付いていないのだ。

大変残念なことだが、多くのメーカーは現在の顧客に目が向いていて、大きなビジネスチャンスを逃がしてしまうかもしれない。しかし、間違いなく、中判カメラは、8Kの時代にはスタンダードになっているだろう。現在DSLRやミラーレスが4Kのスタンダードになっているのと、何も変わらないのだ。

Atomos Shogun Flame & Phase One XF with IQ3

Atomos Shogun Flame を Phase One XF に HDMIで接続

冒頭のビデオから分かるように、Phase One XFのビデオ機能は、ほんの駆け出しに過ぎない。Atomos Shogunで記録するのも、普通のHDMI出力をマニュアルで撮るしかなかった。もしLogガンマや、ダイナミックレンジを広げるための低コントラストモードがHDMI出力にサポートされていれば、言うことないのだが。というのも、普通に記録したHDMI信号でさえ、本当に美しかったからである。そのボケ足はあくまでもソフトで、エリアシングやノイズが無いと言ってよいような画面は、実に高品質なのだ。4K映像でも、その違いははっきり分かるだろう。

なぜ、大きなセンサーが良いのか?

これに関しては、こちらの記事を参考にして欲しい:Full Frame and Beyond – Large Sensor Digital Cinema

中判ビデオカメラを作ろうとしているメーカーはあるか?

中判カメラを作っているメーカーはいくつかあるが、現在のところ、恐らくどのメーカーも、本格的に使えるビデオカメラのレベルには無い。以下に列挙してみよう。

Fujifilm GFX 50s

富士フイルム GFX 50S

富士フイルムがフォトキナ2016で発表した中判カメラ。新しいレンズマウントを採用し、レンズファミリーも同時に発表している。使用しているセンサーは51.4メガピクセル(8256×6192画素)で、ビデオの内部記録も可能だ。ただ、残念ながら4Kはサポートされていない。HDに関しては、是非テストしてみたい。

Hasselblad H6D-100c

ハッセルブラッド H6D-100c

このカメラは4月に発表されたもので、4K RAWビデオを収録することができる。フォトキナ2016で4Kビデオを初めて見ることができたが、素晴らしいの一言だった。ただ、他のメーカー同様、このカメラもまたフォトユーザーをターゲットにしたもので、ビデオユーザーには物足りないかもしれない。このカメラも是非早めにレビューしたい。

Hasselblad x1d 50c

ハッセルブラッド X1D-50c

こちらはHDビデオをH.264/25fpsで撮ることができる。

Leica S (Typ007)

ライカ(Leica) STyp 007

このカメラは4K DCI / 4:2:2で撮ることができるが、super35mmでクロップされてしまう。

Sinar S30|45 Digital Back

ジナー(Sinar) S30|45 Digital Back

スイスのカメラメーカー、ジナー(Sinar)が、4Kビデオを内部記録できるカメラを発表した。Sinarback S30|45はライカのCMOSセンサーとライカMaestro IIイメージプロセッサーを装備する。静止画だけでなくビデオ撮影も想定したカメラ。

次に来るものは?

これらの中判カメラメーカーは、これからビデオユーザー向けの製品を作るには、まだかなりの道のりが必要だろう。しかし、今回見るように、方向性は悪くないし、将来が期待できる。映画製作の世界では、大きなサイズのセンサーに帰りつつある。例えばArriはALEXA65でPhantom65やPanavision DXL、あるいはRED Vista Vision 8Kカメラのような大きなサイズのセンサーを使うことを決断したのだ。

皆さんは中判カメラでビデオを撮ってみたいと思われるだろうか?しかし、いずれにせよ4Kから8Kへ移行する時代、中判カメラが注目されるのは自然な流れではないだろうか?

Phase One XF IQ3のWebサイトはこちら(日本語)

Leave a reply

Subscribe
Notify of

フィルター
全て
ソート
latest
フィルター
全て
ソート
latest

CineDコミュニティエクスペリエンスに参加する